えー、元の自分に戻りたい気持ちがいっぱいな瑳神 桜花です。
生まれ変わってからもう五年も経ちました。
同人誌断ってから五年です。
禁断症状出まくりできっと怪しい幼子だと周りに思われているでしょう。
脳内妄想にもそろそろ根拠が入ってきました。
えぇ、これで一本大作出来ますよ。
……現実逃避したくなる気持ちを察して下さい。
私、「名前が決まった」と父親らしき若い男性が生まれた数日後に告げた瞬間、地獄のどん底に落とされた気持ちが増しました。
えぇ、私の名前は別にいいんです。
問題は苗字と、弟とされる後に産まれた子の名前。
え、何ですか? その死亡フラグ全開な名前は。
そんな事で自分がどこに生まれ変わったのか判断しました。
外れて欲しいと願い続けて五年、どうやらその願いは受け入れてもらえないようです。
歳を追う毎に私の知りえる彼に弟の身は育って行くのです。
あぁ、神様、仏様。
信じていないのにそう呟きたくなりました。
私がどちらかといえば信じているのは、ネタの神様と、昔から日本にいる神様であり、他の宗教の崇められる存在は信じておりません。
って、そんな事はどうでもいいですね。
あぁ、せめてもの救いは弟が私を敵視していない事だと思います。
生きていけているって素晴らしい。
「……にいさん。秋玖にいさん!」
元彼女であった彼が別世界に意識を飛ばしているにも関わらず、彼を兄と呼び、彼を呼ぶ子ども。
あまりに反応がないが為、子どもは頬を膨らませつつ別の手段を取る為、動き出した。
数分の違いで兄となった子どもに対して、両親が夫婦間でよく行っている行為の真似を決行する事にしたのだ。
相手が逃げれないように、座っているソファーに押し倒し、そして相手にのしかかった。
「うっ……なに?」
急に腹部に感じた重さで意識を戻した元彼女であった彼。
そんな彼の視野に飛び込んできたのは、自分に覆い重なって来ている弟となった子どもで。
とっさに顔を反らして避けたところ、弟となった子どもから舌打ちが漏れた。
冷や汗を内心だらだらと流しつつ、彼は弟となった子どもに声をかける。
「きょーちゃん? 私に何を……」
顔は怖くて観れないとでも言うかのように反らしたまま彼は問う。
そんな彼の顔を両手で挟み、自分に向けさせると
「秋玖にいさんがわるいんだから」
と一言。
(ひぃー! 私知らない内にまた何かしたの!? ってか、恭弥さん、それ答えになってないから!)
「きょーちゃん、それ答えになってない」
じっと見上げた先にある弟の顔は悲しそうに歪み、次の瞬間、彼にその顔を見られないようにするかのように彼の胸に抱きついて顔を埋める。
(な、なに? え、恭弥さん!?)
おろおろしながらも、抱きついて来た存在の背を撫でてしまうのは、五年という歳月によって染み込んだ習慣からなるもので。
小さくため息を吐くとポンポンとするのであった。
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