きっかけはいったいなんだったんだろうか?
私は普通に生活を送っていたはず。
一般人とは少々異なったけど、それでも私にとっては普通の生活だった。
例え世間一般からオタクといったカテゴリーに部類される身であったとしても。
とはいえ、隠れであったし、一般的な交流もしていた。
うん、普通じゃない。
ただ、人よりマンガやゲームといった娯楽が好きだっただけ。
四季を楽しむように季節毎に締切とかにも追われたけど、辛い後には至福が待っていたわ。
薄くて高い本だって大好きよ。
それの為に私は土日祝日完全休業のところ選んで就職したし、通常勤務も残業だって真面目に文句言わずにしっかりとがっつりとやってきたんだから。
それなのにこの仕打ちって何?
誰か説明して。
死ぬ気で脱稿した原稿三種類が無事本になっていよいよ明日はイベントだってウキウキして寝たはずよね?
最近のマイブームであるけどマイナーカプってか右左が逆なせいでうち以外あまりサークルを見ないから周り巻き込んでミニオンリー組んだのに!
それとは別に原作発売して初のイベントの作品もあったのに! まだ間もないけど、すでに人気作品だから絶対本出しているサークルさんうち以外にいるとふんで楽しみにしていただけにこの仕打ちは納得出来ない!
ねぇ、私何かしたの?
ただイベント楽しみに隠れオタクとして一生懸命生きてきただけなのに!!
翌日の大きなイベントを楽しみにして早々に寝た夜。
朝だと思って目を覚ましたら眩しい人工的な大量の光。
手術服着たマスク眼鏡の医師と思わしき人物と看護師らしき人物、若い男女の姿、赤子の鳴き声。
何事?
そう聞こうと口を開いたら、出てきたのは赤子の泣き声。
え?
なに?
今の泣き声。え、もしかしなくても私の口から出た?
ウソうそ嘘!
何で私の口から赤子の泣き声が出てくる訳?
なんで?
ってか、今聞き捨てならない言葉を聞いた気がするんですが、ワンモアプリーズ! かなり年のいったお姉さん!
「おめでとう、よく頑張ったわね! 二人とも元気な男の赤ちゃんよ」
「あ、ありがとうございます……。あぁ、貴方にこの子は似ているわ」
「弟の方は、お前に似て美人になりそうだな!」
幸せを噛み締めている感に溢れている空間で新たな命は泣き声を上げるのであった。
社会人三年目に入った隠れオタクの瑳神 桜花であったはずの私。
それが、翌日のイベントを楽しみにして早々に寝た夜から目覚めてみれば、なんとまぁ、酷い事態に。
そう、どうやら記憶を持ったまま他者に生まれ変わったらしいです。
うん、おかしいよね?
だって私、死んでないもの。
ただ休んだだけでしょ?
なのに生まれ変わっただなんて、これはきっと夢だ! って思ったからとりあえずまた寝た訳。
ほら、赤ちゃんって寝るのと泣くのが仕事でしょ?
だからすんなり眠れたんだけど……。
そう、顔に攻撃くらって痛さで目が覚めたんだけど、視野に飛び込んできたのは寝る前に見た天井と、攻撃の元と思われる小さな腕。
寝ても戻らなければ、殴られて痛みを感じるこの身。
何て訳の分からない事態だろう。
生まれ変わる理由が分からない。
そりゃ、イベントの後で戦利品読み終えていたらまぁ、こんなにも乱さないと思う。
……やっぱ無理だわ。
戦利品読み終えたら、翌日には次の原稿のネタ出し始めていたから、あっちでの私。
しかし、生まれ変わるにしても、他意を感じるのよね。
一つ。私は生まれ変わる事を望んではいなかった。
一つ。生まれ変わるにしても性別が変わる必要はない。
一つ。どうやらここは私が生まれ育った世界ではないらしい。
私自身の意志であるなら生まれ変わるにしても同じ条件を望む。
というか、まだ私は人生全うしてないし、何より私の家や部屋に同業者以外の他人が入り込む事を想像するだけで!
ヤバイやばい! ヤバイから、まじで!!
ちょ、誰だか分からないけど、私を元の私に戻して!
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