復活7

 ダメツナな俺にはもったいないぐらい凄い友達が出来た。
 友達と言うのもおこがましいぐらい彼は格好良くて、同じ男なのに彼がふと見せる表情にドキッてするんだ。
 それから、不思議で仕方がないと思う程、彼はクラスで俺以外と仲良くする気配がない。
 クラスの皆は彼と仲良くなりたいみたいなのに。
 不思議だったから二人になった時に聞いてみたんだ。
瑳神君は俺以外の友達を作らないの?」
 って。
 したら、即座に訂正を入れられた。
秋玖
 ……うぅ。名前で呼ぶ約束をしたとはいえ、やっぱり恥ずかしくてすんなりとは呼べない。
「……秋玖、君」
 そう告げれば、ちょっと不満そうな表情をされた。
 うー、畏れ多くて呼び捨てなんて出来ないよ!
 だから、俺も譲れないといった表情を一生懸命作ってみた。
 絶対迫力無い。やさ顔な上に締まりがない顔だから仕方がないとはいえ、彼とは雲泥の差で悲しくなる。
 それでも意図は通じたみたいで、馴れたら呼び捨てするようにと妥協案を出された。
 ……馴れる日なんて来るのかな?
 来ないだろうな……なんて考えていたら、質問の返事が返ってきた。
「今は綱吉だけで。今度の転校生、彼とはなる予定」
 転校生? そんな予定が有るのかな?
 ごくたまに彼は不思議な事を言う。
 それがまた彼を魅力だたせるのかもしれないけど、俺は話に付いていけなくて、それがまた寂しい。
 俺がダメツナだから仕方がないとは思うけど、やっぱり寂しい。
 放課後以外の学校生活ではいつも一緒だけど、入学してから一度も一緒に登下校をしていない事になんだが違和感を感じて、また寂しい気持ちを気付かれたくなくて聞いてみた。
「そういえば秋玖君は、掃除当番じゃない時はいつもホームルームが終わったら凄い速さで帰っちゃうけど……」
 そこまで言ったところで次の言葉は出てこなかった。
 彼が困った様に、だけど愛しそうに苦笑して首を振ったから。
 ヅキンっと胸に針が刺さる。
 知らない。
 その笑みが意味する事も、笑みを引き出したであろう相手も。
 見たくない。
 俺が振った話題だけど、あんな笑みは見た事ない。
 だから、また話題を変えて逃げる事にした。
 俺に対しての笑みじゃないなら見たくない。