皆さんこんばんは。
なぜか復活な世界に生まれ変わってしまった元瑳神 桜花で、現雲雀 秋玖な私も気が付きましたら小学校を卒業し、中学生になっていました。
死亡フラグが上がるのを避けたくて、弟となってしまった彼、雲雀 恭弥から離れたいと願って十数年。
何でか離れる事は叶わず、おはようからおやすみまでずっと彼と一緒です。
うん、まだ産まれたての動けない時は離れる時間も少しはあったんだ。
それが自由に動けるようになってから、私が逃げても彼が追いかけてくるから離れる時間もなくなった訳で。
……同人活動出来ないじゃん。
鬱になりそうです、同人の神様。
ネタが有るのに活動出来ないって。
しかも、性別男になったから女性向けに手が出せない。
いや、うん、出せたとしても、彼がずっと一緒の状態だと出せないようなものなんだけどね。
あー、でも、そろそろ兄離れしてくれないかな。
私、死亡フラグなんて欲しくないんだ。
「きょーちゃん」
腰回りに腕を回された状態に、ソファーに座って本を読んでいた秋玖は固まりつつもなんとか声をかければ、声をかけられた方は顔を上げて声の主を見る。
(……なんで私、抱きつかれているのかしら? それにしてもますます綺麗な顔に育ってるよね。触ってもいいかな?)
「……綺麗」
読んでいた本から片方の手を離し、頬へと触れる。
秋玖の急な行動に、恭弥は頬を赤らめる。
(やばっ! 怒らせた!?)
慌てて頬から手を離そうとすると、その手はあっさり捕まり、捕まえた本人の口元へと運ばれる。
「秋玖兄さん、また逃げようとしたでしょ」
手にかかる息がくすぐったくて逃れようとするも、しっかりと握られ、逃げる事は叶わない。
そして言われた言葉を理解して、秋玖は内心慌てた。
(や、やばい! 怒ってないように見えて内心怒っていらっしゃる……。えっと、もしかしなくとも私、噛み殺される?)
「私を噛み殺す?」
漏れた言葉は彼の心情とは異なり、挑発的な声音と笑みで相手へと伝わる。
「兄さんは噛み殺されたい?」
捕まれた秋玖の手を舐め、上目遣いで聞いてくる恭弥。
(ひぃー! 勘弁願いたいです!! 痛いのは嫌いなんですって、昔から!)
「痛いのは嫌い」
興味を無くしたかのような返事に焦り出す恭弥。
「っ……兄さんを噛み殺すぐらいなら! お願いだから嫌いにならないで!」
恭弥の返答にホッとしたと同時に疑問が湧く。
(あーよかった! 噛み殺される心配はないみたい? あれ? でも何で嫌いにならないでって言われてるの? 私、死亡フラグさえ立たなければ、遠くで見る分には全然嫌いじゃないんだけど。むしろ、綺麗な男の子大好きだし)
「嫌いじゃない……好きだ」
必死で見てくる恭弥に首を傾げつつ見返す秋玖。
漏れた言葉にパッと花が咲いたように表情が明るくなり、頬に赤みが差した恭弥。
「っ……も……が好きだから」
ぶっきらぼうに告げられた言葉は小さく、秋玖は首をさらに傾げる。
そんな彼の襟元を抱きついていたもう片方の手で引っ張り、無理やり自分の方へと顔を近付けさせると、攫うように唇を奪い、赤い顔で秋玖を睨むと
「秋玖兄さんが好きだって言ったの!」
と言い、恥ずかしかったのか、逃げるようにその場から去って行ったのだった。
急に引っ張られ、ビックリしているところに、恭弥の顔がアップになったと認識する間もなく、唇に柔らかいものが触れ、恭弥に睨まれつつ告げられるだけ告げられ、去られた秋玖。
情報を整理仕切れず、彼は夕方を告げる自治体の放送が鳴るまで、ソファーの上に青天井の状態で固まっていたのであった。
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