お買いもの~お買いもの~。
やぁやぁ、こんにちは皆さん。桜花さん改め秋玖君ですよ。
本日は街の方まで出て来ました。それも一人で!
本屋さんで沢山本を漁るんです。そのあとはケーキでも食べてゆっくりお茶を楽しみつつ、日頃の疲れを癒そうかと。
久々に行くから買うものいっぱいだぞー! 楽しみすぎる!!
目的の本屋へと着いた秋玖はカートを他者の邪魔にならない様にしながら引き、嬉々としてまずは新刊の棚を漁る。
あれもこれもと手にしていき、その場所だけで片手で持つには少々重い量になってしまう。
どうしたものかと思いつつ、買うのをやめるといった選択肢は彼には無いらしく、カートをまた引きながら次の棚へと移動を始めた。
そんな彼を見かねたのか店員が店内にあまり置いてない買い物カゴを貸し出してくれた。
それに礼を告げて、受け取ると持っていた本を入れカートの上に乗せて新たな本を見つけては入れていく。
みるみる間にカゴいっぱいになり、そこでようやく秋玖は動作を止め、レジを確認してから暇そうなところへと並ぶ。
カートに本を入れてくれるように頼み、計算が終わるのを待ってから清算を済ませて本屋を後にするのであった。
本屋から出て重くなったカートを引きお茶をする為に喫茶店へと向かおうと歩いていたところ、聞き覚えのある声が話しかけてきた。
「お? 秋玖」
その声に歩みを止めて振り返れば、ゲームセンターを背に山本が立っているではないか。
「……補習はどうした?」
山本の姿は制服であるし、時間的にまだ終わる時間ではない。
知り合いに会いたくないから、早い時間に出て来たのに、これでは意味がないと思う秋玖。
「今日は日曜だからな。息抜きも必要ってね」
ニカッと笑う山本にため息を吐く。
そんな秋玖の空いた手を取り、当たり前のように
「秋玖も一緒に遊ぼうぜ。秋玖だけ連絡取れなくて諦めかけてたんだ」
ニコニコとしながら、返事も待たずにグイグイと引っ張っていく。
「私はいい。ゲーセンは苦手だ」
と断りを入れる。
「山本何やって……瑳神じゃねえか」
一向に来ない山本を呼びに来た獄寺。
目に映ったのは山本に引っ張られている私服の秋玖の姿。
「山本をどうにかしてくれ。私は帰らなければいけないんだ」
獄寺にヘルプを出す秋玖。
「嫌がってるじゃねえかよ!」
無理やり誘ってんじゃねえ! といった様子で山本と秋玖の間に入ろうとしたところ、大きな爆発音と綱吉の悲鳴がする。
サッと表情を変え、獄寺と山本は綱吉のもとへと走っていく。
(ちょ! 待ってよ!! 今日がもしかしてリング戦のきっかけ日だったの!? ギャー! マジ勘弁してよ! 無理無理!! 知っていたら家に籠っていたのに!)
内心焦りまくりであるが、片方の手は山本に強く握られ、もう片方は大切な本が入ったカートをしっかり握っている秋玖は、山本に引きずられる様な体制で綱吉のもとへと向かうのであった。
飛んできて自分を潰した相手に起こされている綱吉のもとに近づくと、また新たな爆発音。
そして新たな人物の声。
その人物の声を聴いた瞬間、秋玖は山本の手を振りほどき、そしてちびっ子達を空いた片腕で抱きかかえてその場から立ち去ろうとする。
もちろん大切な本が入ったカートは手放さない。
「待て。チビ達は避難する奴に任せて秋玖は残るんだぞ」
リボーンに引き止められるが、視線だけ向け
「何を言ってる(んですか!? 弱小の)私を巻き込むな(って言いはりますよ! 無理だから、本当に)」
と一言告げるとそのまま歩みだす。が、ガラガラと音がするカートに舌打ちして、取っ手を引っ込めると抱えて歩く事にする。
(か、買いすぎた。重い……でも、大切な癒しの品だから手放すなんてしないぞ。頑張れ、私。ってか、雲雀家の能力)
力を籠めて一歩一歩を歩くのであった。
そんな秋玖に
「あ、あの瑳神君! ランボ君とイーピンちゃんは私達で連れて行くから」
控えめに京子がかける。
その声に振り返れば、京子とハルが立っており、秋玖は抱えていた子ども達を二人に預けると、両手でカートを持ち直し
「笹川さん達も早く避難した方がいい。ここは危険だから」
と告げて、秋玖はその場から去る為に止めていた足を再度動かし始めるのであった。
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