こんばんは、皆さん。
桜花さん改め秋玖君です。
あーと、うん、今夜も絶賛抱き枕な状態になるみたいです。
え? なんでそんな事わかるかって?
そりゃ、現在なりつつあるからです。えぇ、普段ならば寝ている間になっているのが、今日は起きている間になっているって違いですね。
「きょーちゃん、自分の部屋で寝な」
秋玖の部屋に一緒に入ってきてあまつさえ彼のベッドに彼よりも先に入ろうとしている恭弥に秋玖は淡々と告げる。
だが、恭弥は首を横に振り
「やだ」
と一言返して、掛布団を鼻の所まで被り、秋玖の様子を伺う。
「嫌って、どうして」
今日に限って初めから入ってくる理由が分からず問う。
「……だって、兄さんは明日からもう応接室に来ないんでしょ」
今日綱吉達に学校で出会い、教室に行くと言っていた秋玖。
せっかく一緒の時間を過ごせていたのに邪魔が入ってしまい、尚且つその一緒の時間の終わりを告げたのだ。
これは恭弥としては大変面白くない。
だが、教室に行って草食動物と会うのは中学生活を始めた頃から秋玖の小さな願いである事も知っているから、恭弥としては行かないで欲しいと我儘を言えない。
言えない分を違うところで補うように甘える。
「……今日の話か。もしそうならば、明日からという訳ではない」
そんな恭弥の言動から導き出した答え。その答えに苦笑を漏らし、自分の部屋に戻れと言っても先程と同じ返答であろうから諦めて秋玖もベッドに入る。
そして延長紐を引っ張り電気を消す。
いつもよりも早く部屋に引っ込んだのは、まさかの綱吉達との再会に思いの外気疲れしてしまった為、眠かったからだ。
なのに恭弥が付いてきたのですぐには眠れなかったのだ。
だが、話しを聞き、単なる甘えだと分かったし、自分の部屋に戻れと言っても無意味であると理解したから、眠たいのを我慢するのも無意味であると。
「私は言ったはず。きょーちゃんの怪我が完治するまではって。まだ、あの時に追った怪我は治っていないだろ」
あまり無理はしないように。と口にしつつ、小さな欠伸が出る。
「……戻りなって言っても聞かないだろうから、今日はもう言わない。おやすみ」
おやすみの挨拶を告げると、恭弥と自分に掛けている掛布団がきちんと肩まで掛かっているかを確認して秋玖は目を閉じ、夢の世界へと旅立つのであった。
一方的に話を終わらせられた恭弥。
「兄さん、完治しても一緒に居てってお願いしたら、叶えてくれる?」
秋玖の寝顔を覗き込みながら問うが、返事はない。
すでに話し相手は夢の中。
よっぽど疲れているのか何を言っても返事は返ってこず、代わりに聞こえるのは寝息のみ。
「……大好きな兄さん、おやすみなさい」
触れるだけのキスをして、恭弥は秋玖を抱きしめて眠りにつくのであった。
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