自分で自分の行動がよく分からない桜花さん改め秋玖君です。
なんで私は降りてきた道をまた登っているのかしら? 本当に意味が分からない。
門とおぼしき場所まで見えたところでそのまま進んで街の方に歩いていけば良いのに気がついたら踵を返していたっていうね。
死亡フラグありまくりな場所に引き返しているって、本当に自分の行動とは思えない。
とりあえずタクシーは呼んでおこう。
戦闘が終わった頃を見計らって恭弥さん回収して病院に連れて行かないとだし。
……私の素性が綱吉君にばれてしまうだろうな。でも、リボーンさんに目をつけられてしまったみたいだし、隠していてもどっち道時間の問題かな。
でも、明日以降怖がられたら寂しいな。
そうなったら学校行きたくないな。でも義務教育期間だしなぁ。
……。並盛中大好きな恭弥さんだから学校を不登校になるのをよしとしないだろうから、保健室登校ならぬ応接室登校になりそうだわ。
洒落にならない……。
あー、でも今から取ろうとしている行動は確実に素性がばれてしまう行動な訳で……。
腹をくくるしかないか。
せめて戦闘終了していて復讐者の来訪が終わっているといいんだけど。
会いたくないよ、あのおっかない集団には。
骸との戦闘を繰り広げていた綱吉。
苦戦したものの決着が着いた。
「……クフフ。貴方を手に入れ損ねてしまいました。秋玖君」
扉の方に顔を向け、呟く様に告げた骸。
骸の口から出た名前に驚きを隠せずに綱吉は骸が見ている扉に視線を移す。
するとゆっくりとした動作で静かに姿を現した秋玖。
「私は……」
何か口にしようとするが、何も言わなくていいです。とでも言うかの様に骸が小さく首を横に振った後、力尽きたように気を失った。
秋玖は小さくため息を吐き、倒れている恭弥へと近づく。
そして気を失っている恭弥の頬を優しく撫でた後、負担をかけない様に慎重に抱き上げる。
「六道 骸。私の大切な者達に害をもたらさないならば友になれただろう。……夢でなら話し相手になろう」
気を失った骸に視線を向け独り言のように静かに告げ、そしてここに長いするつもりは無いといった様子で入ってきた扉に歩み始める。
だが、そんな秋玖の進路を妨害するかの様にリボーンが銃口を秋玖に向けて立ちはだかる。
「お前、何者だ」
「……綱吉の友人である秋玖だと名乗ったはずだ」
出会った時同様の問いに同様の答えを口にする。
そんな二人の間にヨロヨロと割って入ってきた綱吉。
「秋玖君、その……雲雀さんをどうして」
秋玖の腕の中にいる恭弥へと視線を向け、骸を見、秋玖に視線を向ける。
その視線を受け、秋玖は綱吉同様に自分の腕の中にいる恭弥を見、そして知り合いの様に会話をしていた骸や、秋玖が入ってきてからずっと視線を向けてきている犬や千種をちらりと見て、小さく息を吐く。
「骸とは小さい頃夢で会った事がある。雲雀 恭「……んっ……に…ぃ、さん…」
どうして恭弥だけを連れていくのかを口にしようとしたところで恭弥がうっすらと意識を取り戻し、秋玖を認識すると安心した様子で口を開く。
そしてまた眠りにつくように意識を手放した。
そんな恭弥を優しく見て、綱吉に視線を移し
「恭弥は私の弟だから」
と一言告げ、気持ちを切り替える様に一度目を瞑り、これ以上はここにいるつもりは無いといった様子で歩みだし綱吉とリボーンの横を通りすぎる。
「待て。お前、ビアンキの質問に対して是と答え「質問が名前と限定されていた。だからそうだと答えたまでの事」
リボーンの質問に覆い被さる様に答えを返し、綱吉に視線を向け
「騙す様な形になってしまってすまなかった」
これ以上は話す事は無いと今度こそ秋玖は出ていく。
去った秋玖の背を思い出しながら
「……秋玖君はどうして」
と小さく呟く綱吉の問いに答える者は誰もいなかったのであった。
最近のコメント