復活12

 こんにちは。
 運動会や授業参観日やら色々な行事を不参加で終え日常生活をそれなりに送っている桜花さん改め秋玖君ですよ。
 運動会は例の監き……いえ、外出禁令時に行われたので参加のしようがなかったんですがね。
 参観日は面倒事が起こるのを知っていたので学校休みました。
 どうせ親忙しくて来ないし。
 で、今日は一人山に来ています。
 今年紅葉狩りをしていない! って気がつきましてもう無理かもしれないと思いながらも遅い紅葉狩りに来ました。
 が、やはり失敗でした。
 楽しいどころか寒すぎる。
 すでに秋は過ぎて冬到来って感じですか。

“どすーん!”

 ん? 今なんか大きな音がしませんでした?
 何だろう。
 結構近くでしたから早々に帰路についた方が利口な気がする。
 それとは別にここに来るのに昨夜寝る前に恭弥さんに告げて、記憶に無かったらと思って書き置き残してきたけど、逆効果で怒っていたら早々に帰らないと死亡フラグが上がっていくと思われ……。
 うん、今すぐ帰ろ。
 直ちに!
 どうか恭弥さんが荒れ狂っていませんように。
 そして変なハプニングに巻き込まれませんように!!

 急いで来た道を引き返していた秋玖
 だが、不意に足先が木の根に引っ掛かり転けかける。
 転げないように踏ん張ってみようとするが、片足だけでは上手くいかず、それに加え山を降りている時であったがゆえ、ケンケンをするような状態で横道にずれていき、最終的にバランスを崩して横に倒れた秋玖
 なんとか受け身はとったが、倒れた時の衝撃があり、肩を打撲してしまう。
「……っ」
 起き上がりながら打撲した腕を力を抜いて優しく擦るが痛いものは痛い訳で、小さく口から漏れた声。
 そんな小さな声を拾った人物が居た。
「ん?」
「ディーノさん、どうかしましたか?」
 声のした方を見て首を傾げたディーノの声に綱吉がどうかしたのか問う。
 そんな綱吉に振り返り
「いや、今声がした気が……」
「オレ達以外に誰か来ているのかもな」
 山本がのんきにそんな事を述べ
「じゃぁ、じゃぁその人に道を聞けばかえ「ギャアアアアア」
 綱吉の言葉に被さる様に洞窟内を見に行った獄寺の悲鳴がし、意識は洞窟の方へと向き、綱吉を覗いた三名が警戒を強め、洞窟を窺う。
 しばらくすると洞窟から気絶した獄寺に肩を貸し出てきたのはビアンキ。
 そして彼女が声をかけるとさらに出てきた人物。
 人物が増えた事により賑やかになり、先程ディーノが聞いた声の主の事はすっかり忘れた面々。
 そんな彼らの声を秋玖はこけた場所から立ちあがり、後ずさりしながら聞いていた。
(なんか嫌な予感がヒシヒシとするから関わらずに早々に立ち去らなければ)
 と内心かなり焦っていた。
 戻るならケンケンで来た方向へ向かえばいい訳で、だがこけた拍子に少々回転したのか微妙に方向が変わっている気がして瞬時に走る事が出来ない。
 とりあえず声のする方とは反対に向かう事にした秋玖は声のする方を背に向け歩き出した。
 山を降りたら救助を要請するから! と誓いながら。
 黙々と進み、どうやら何とかなりそうだというところで後方で山火事発生。
(ひぃー!! まじですか。は、早く逃げねば今度はでかい亀が襲ってくるじゃん!!)
 本編の内容を思い出したらしく、歩いていた足は速度を速める。
 そして見つけた人の足で踏み固められ出来た道。
 下る方を向き、今度こそ駈け出した秋玖は一気に下って行った。
 少々息を切らせ山を下り終えた秋玖
秋玖兄さん」
 一言秋玖を呼ぶ人物がいた。
 え? と思い声のした方を見れば、秋玖は心臓が止まるような気持ちになった。
 声の主はバイクに跨った人物で。
 見知った声に格好。
 返事をしないと死亡フラグが上がると思い、秋玖は何とか息を整えて声を出す。
「きょーちゃん」
 そんな秋玖にバイクから降りて近づくとヘルメットを渡し
「迎えに来たよ。帰ろう」
 と有無を言わさぬ雰囲気で告げる。
 そんな彼に逆らえるはずもなく、頷くものの、ハッとして
「少し待て」
 と告げて近くの管理小屋へと歩み始める。
「どうしたのさ」
 待てと言う秋玖に首を傾げ後を追いながら問えば
「遭難者が居たみたいだから連絡しておこうと思ってな」
「放っておきなよ」
 遭難した奴なんて遭難した己自身が悪いんだから、秋玖兄さんが気にかける事じゃないよ。と恭弥は告げる。
 だが、秋玖は首を振り
「私自身彼らに声をかけなかったから、せめて救助要請だけでもしなければ」
 己が身を優先してしまったから、せめてと言い、引かない秋玖にため息を吐き。
「分かった。最高で五分だけね」
 それ以上は秋玖兄さんがなんと言おうとも連れて帰るからと恭弥は告げて秋玖の手を取る。
 そんな彼に小さく苦笑いを漏らすと秋玖は頷き
「用件だけ告げて帰ろう」
 と返すのであった。