姉さん、事件です。
………………。
誰か私の納得いく事情説明をして下さい。
ショートした頭ではいささか理解力が追い付きません。
これは死亡フラグが上がったと認識すべきですか、先生。
とりあえず理解力が低迷した頭でも情報を整理する事ぐらいは出来たので、理解をする為に再度考えてみよう。
1:私はソファーに身を預けて図書館から借りた本を読んでいた。
2:したら、恭弥さんが抱きついてきた。うん、ここまではよくある。
3:どうしたのか聞く為に勇気を出して声をかけたら、綺麗な顔が見上げてきて、誘惑に勝てずに気が付いたら彼のきめ細かい頬に触れていた私の右手。
4:やばいと思って引っ込めようとしたら、捕まって、聞かれたんだよね、「逃げようとしたでしょ」って。
5:いよいよ噛み殺される? とビクビクしていたら無意識に口から言葉が漏れて、質問に質問で返され、しかも何でか手を舐められつつ上目遣いをされた。
正直くすぐったくて、この時点ですでにあんまり頭動いていなかった気がしないでもないんだよね……。
6:「痛いのは嫌い」ですって言ったら、急に恭弥さんが私は「噛み殺す事はしない」って確か言ってくれて、悲願するように「嫌いにならないで」って言われたんだよね。
何で急に嫌いにならないでって言われたのか分からなくて、頭混がらがってきて何か言ったんだと思う。
確か遠くで見ている分には「嫌いじゃない」だとか、綺麗な子は「好きだ」とかだったはず。
したら、何でか不安そうだった恭弥さんの顔が綻んで、色づいたと。
私、赤らめるような事は言っていないよね? 変態な事は言ったかもしれないけど。……最悪だな。
7:とりあえず、変態な事を言ったかもしれない私に恭弥さんは何かが「好きだ」って言ったんだ。
聞き取れなくて首を傾げた訳だ。もう一度お願いしますって、聞き返してもいいですか? と思っていた。うん、口を開けて聞こうとしたよ。
8:次の瞬間、腰に残っていたもう片方の恭弥さんの腕に襟元引っ張られて、視界が揺れたと思ったら、綺麗な恭弥さんの顔のどアップがあって、唇に温かくて柔らかいものが触れたんだよね。
9:何? と思う暇も無く私の事が「好き」だって真っ赤な顔で睨まれ言い逃げされた。と。
ん? 私の事が好き?
私の事が?
………………。
ねねねねぇ姉さん! 大事件です!!
唇を奪われただけでなく、ツンデレ恭弥さんに告白までされていました!
わ、私は一体どうすればいいのでしょうか!?
前世ってか、以前の世界では桜花と言う名の一応女でしたが、こちらの世界では秋玖と言う名の男です。
しかも、何でか恭弥さんと血の繋がった二卵性の双子のお兄ちゃんなんです! これは確実なんですって! だって、誕生した時に私しっかりとその現場に居ましたし、聞きましたもの!
え、って事は近親……。
いや、うん、あの恭弥さんに限ってそんな事ありませんよ。
だって唯我独尊俺様な恭弥さんですよ?
こんな見た目軟弱草食系男子で中身腐女子な私にあの恭弥さんが恋心を抱くだなんて有り得ませんよ。
きっと気の迷い。若気の至りですって。
忙しくて家に居着かないこちらの両親の代わりに小さい時から面倒見てきたから、小さい子どもが母親や幼稚園の先生とかに抱く「将来お母さん(先生)と結婚するの!」って感情ですよね。
うん、小さい時から私にべったりだったから、母親や幼稚園の先生とかに抱く気持ちを彼女らではなく私に抱いたんだな。
なんだ、恭弥さんったら可愛いところも有るじゃないですか。
でも正直ごめんなさい。
私は2718か1827なんです。
二人がイチャイチャしているところを影から見ていたいってのが本音です。
私自身はあって足し算で、かけ算は不要なんです。
いや、足し算も出来ればメインってか主要キャラとはごめんなさいをしたいんですが。
死亡フラグがただでさえ産まれたての時から有る身としてはパーセンテージ上げたくないです。本当に。
……唇を奪われただけで今回は済んだけど、この事は胸に閉まっておくべきだよね。まだ出会ってない恭弥さんの彼(左パターン)に知られたら私殺されるかもしれないから。
もれなくブラックな笑み付きで!
あー、これが薄くて高い本か同人サイトでのネタならかなり美味しく頂けるのに! ツンデレ恭弥さんを鳴かせて美味しく頂いてますよ。私の下で。そうなると三角関係だよね! って、まだ一人登場人物欠けているけどさ。
なんで現実なんだろう……。
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2020.2
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