最近兄さんがウキウキしている気がする。
そしてソワソワした感じで何かカタログみないな冊子を見てはため息を吐いて首を振る仕草を繰り返している。
何かあるのだろうか?
特に思い浮かばずにすでに数日過ぎて、なんだかイライラする。
気になっていつも以上に群れを狩ってもスッキリしない。
ねぇ、兄さん。
今日の放課後に来た時に答えを聞いてもいいかな?
秋玖は自身の席でカタログを広げて迷っていた。
そんな彼に気が付き、綱吉が問い掛ける。
「秋玖君、何だか迷っているみたいだけど……」
その声に顔を上げて
「あぁ、迷っている」
と頷き、見ていたカタログを綱吉に見せる。
見せられたカタログに視線を向けた綱吉。
そして綱吉の傍に居た獄寺と山本も覗き込む。
「ケーキだね」
カタログに写された写真には沢山のクリスマスケーキが印刷されていた。
「今日が申し込み締め切りなんだが、決めかねている」
甘すぎるのは嫌だし、かと言ってご老人向けのでは味気ないかもだし、何より弟がどう出るか分からない。
そんな事を気にしていたら決めるに決められなくなってギリギリまで悩んでいるのだと話す秋玖。
「瑳神、チョコレート好きだったんじゃねぇのか」
いつだったか強奪する勢いでくれと迫ってきたじゃねぇか。と獄寺が言えば、秋玖は素直に頷き返す。
「好きだよ。だが、このカタログのチョコレートケーキはいまいちだった」
基本的にショートケーキ系が主力らしいカタログで見つけたチョコレートケーキはすでに制覇済みだと告げる。
その返答に呆れた様子を見せる獄寺。
笑って感心する山本。
「よっぽど好きなのな」
「そっか。なら、別のを探さないとね。そうだな、あ、このアイスケーキとかいうのは?」
真剣になって相談にのる綱吉はカタログのある一ヶ所を指差して問う。
その部分に全員で覗き込み
「さすが10代目!」
「お! 美味しそうだな」
「個別になっているのか……」
それぞれの感想を述べていく。
そしてしばし考えた後、秋玖は一つ頷くと
「今年はこれにしよう」
と述べ、綱吉達に礼を述べるとカタログと携帯を持って廊下へと出て行った。
そんな秋玖の背を見送りながら
「秋玖君、弟が居るんだね……」
ポツリと呟く。
ウダウダと悩んでいた理由を話していたのをきちんと聞いていたらしい綱吉の言葉に二人は驚いた様子を見せ
「良く気づいたのな」
「あいつの弟ですか……どんな奴なんでしょうね」
興味関心を見せるのであった。
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